麻雀を愛するプロ

 2017/12/03up

 2017年11月に、第42期最高位決定戦が終了しました。この後対局の結果も書きますので、「今後動画サイトなどで見る予定だ、ネタバレは困る」と言う方は、以下の文章は読まないことをお勧めします。

 今回の最高位決定戦は、対局終了後の挨拶が非常に良かった。これに尽きます。最近は動画を見る時間も減っていますが、「スリアロチャンネル」に加入していて良かった、と心から思うことができました。自宅で最高峰のタイトル戦が見られる、素晴らしい時代になったものです。

 それはさておき、対局内容はぜひスリアロチャンネルの動画をご覧いただきたいと思いますが、ここでは金子正輝プロ・村上淳プロの素晴らしい挨拶を全文紹介してしまいます。なお、小林未沙さんは実況・司会で、土田浩翔・石橋伸洋両プロは解説です。

金子プロの挨拶

小林「今年はどんな1年でしたか?」
金子「本戦のほうでもまあまあいい結果を残せましたし、決定戦でも毎回長い戦いで…。倒れそうになりました(笑)」
小林「次に目指していくものは?」
金子「村上がこれで3回、近藤(誠一プロ)も3回、僕が4回でしょ。みんなでいっぱい取っているみたいだけど、合わせても10回なんだよね。10回って、飯田(正人プロ・故人)さん1人で10回取ってるじゃない。村上まだ若いよな?」
村上「42ですね」
金子「飯田さんはまだ42の時は3回取ってないから、村上も10回目指す。で、園田さんはいくつだったっけ?」
園田賢プロ「僕は36です」
金子「36の時飯田さんは1回も取ってないから、園田さんも10回目指す。近藤さんはもうシニアだからあと1回目指してください。僕ら(金子・近藤両プロ)はもう年寄りだからあと1回ずつ、2人(村上・園田両プロ)は10回ずつ目指してください。で、石橋も10回目指してください」
石橋「まずは…Aリーグに復帰して(苦笑)」
金子「土田さんはシニアだからあと1回くらいは。ということで、目指すところは、高いところを目指してください。と言ってる私も高いところ目指さないといけないんで、来年も頑張ります」
小林「金子さん、今日はたくさんの方が本当に長時間…今日というか20回戦にわたってずっと応援してくださったので。メッセージをその視聴者の方に向けてお願いできますでしょうか」
金子「来年はもうちょっとだけ、いい麻雀が打てるように、なんとか頑張ります。ありがとうございました」

 対局時の半荘終了後、解説をしている若手プロに「今の打ち方どうだった?」と聞きに行くこともあるほど、今でも向上心あふれる金子プロならではのコメントですね。

村上プロの挨拶

 村上「今年は恵まれて、3回目の最高位になりました。3年前に最高位になってから、いろんなところ呼んでいただいて、まあまあな結果は出ていたんですけど、1回も優勝できなかったんですよね。1年前ぐらいからですかね、このままじゃあかんぞと思ったんで、ゲストとかの仕事減らして、家で麻雀の勉強をする動画を見たり、勉強会も増やして、この1年間やってきたら、すごくいい感じになってきました。やっぱり麻雀って、しっかり勉強する時間を増やさないと、なかなか強くなれないんだなあと思ったので、心当たりのある麻雀プロは一緒にでもいいですし、個別でもいいんですけど、麻雀を勉強する時間を増やして、もっともっといい世界にしていかないと、周りが恵まれているときに、「麻雀プロは大したことねえな」と思われたら悲しいので、「麻雀プロすごいな」というスキルを、みんなが身に付けて、もっともっといい世界になったらいいなと、本当に心から僕も思っております。その時僕もトッププロの1人であったらいいなと思って、僕ももっと勉強時間増やそうかなと、そんな気持ちでいます。これからも毎日毎日勉強して、ゲストとかも行きますけど、いい麻雀を打ち続けて、さっき金子さんに言われた通り、10回最高位を目指して頑張りたいと思います。応援してくださった方々、スタッフの方々、解説の方々、本当にいろいろ1年間ありがとうございました」

 良いベテランがいるからこそ、良い中堅が育つ、そして彼らが良い若手を育てる。このインタビューだけで、それがよく伝わってきます。横にいた土田プロも絶賛する素晴らしい挨拶でした。

 結局のところ根幹にあるのは、金子プロも村上プロも心の底から麻雀を愛してるんだなあ、というところではないでしょうか。彼らのような素晴らしいプロがいる限り、プロ麻雀界の未来は決して暗くはないと思いたいです。