2018年10月に開幕したMリーグ。一応概要を簡単に説明しますと、主要5団体(連盟、最高位戦、協会、麻将連合、RMU)に所属するプロが参加可能で、プロ野球のドラフトのような形で所属チームを決定。各チーム3名のプロが所属し、各チーム80戦のリーグ戦を行います。上位4チームが24戦のファイナルシリーズを行い、優勝チームを決定します。
「麻雀プロの収入源」では、麻雀はスポンサーがつきにくいということを書きました。大きな原因のひとつとして、「麻雀=ギャンブル」という印象があまりに強すぎることが挙げられます。しかし、Mリーグの創設に携わったサイバーエージェントの藤田晋社長は「ゼロギャンブル宣言」を行い、「賭けたら除名」と明言しました。
上記のような試みが功を奏し、参加チームのオーナーにはサイバーエージェントや電通、テレビ朝日といった大企業が名前を連ねました。優勝賞金は破格の5千万円! 各団体の最高峰のタイトル戦ですら100万円程度が普通である中、文字通り桁違いの賞金額が実現しました。
「もっと若手麻雀プロの台頭を」では「麻雀こそ記録のゲームだ」と書きました。Mリーグでは私の希望の一部が取り入れられ、「Mリーグ公式サイト」では平均打点と4着回避率がランキングで掲載されています。執筆時点で打点断トツなのは鈴木たろうプロ(協会)で、2位に800点以上の大差をつけています。いずれ、もっと細かいデータが見られるようになることを希望します。
「団体ごとにバラバラのルール」では、各団体でバラバラすぎるルールを嘆きましたが、Mリーグでは以下のようになっています。もうMリーグのルールで統一すればいいのではないでしょうか。強くそう思います。
連盟・A | 最高位戦 | 協会 | RMU・A | 麻将連合 | モンド杯 | 天鳳 | M リーグ | |
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スタート時の持ち点 | 30,000点 | 30,000点 | 25,000点 | 30,000点 | 30,000点 | 25,000点 | 25,000点 | 25,000点 |
順位点 | 特殊 | 10・30 | 10・30 | 5・15 | 4・12 | 10・20 | 10・30 | 10・30 |
オーラスのアガリやめ | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | なし |
ダブロン | なし(頭ハネ) | なし(頭ハネ) | なし(頭ハネ) | なし(頭ハネ) | なし(頭ハネ) | なし(頭ハネ) | あり | なし(頭ハネ) |
ツモ番のないリーチ | 認めない | 認めない | 認める | 認める | ? | 認める | 認めない | 認める |
九種九牌・四風連打 | 流局 | 続行 | 続行 | 続行 | 続行 | 続行 | 流局 | 続行 |
4人リーチ | 流局 | 続行 | 続行 | 続行 | 続行 | 続行 | 流局 | 続行 |
喰い替え | 現物以外は可 | 不可 | 不可 | 不可 | 現物でも可 | 不可 | 不可 | 不可 |
国士無双アンカン和了 | 認める | 認めない | ? | 認めない | 認めない | 認めない | 認めない | 認めない |
流し満貫 | 認めない | 認めない | 認めない | 認めない | 認めない | 認めない | 認める | 認めない |
30符4翻の点数(子) | 7,700点 | 満貫 | 満貫 | 満貫 | 7,700点 | 満貫 | 7,700点 | 満貫 |
連風牌のアタマの符 | 4符 | 2符 | 2符 | 2符 | 2符 | 2符 | 4符 | 2符 |
人和(レンホー) | 満貫 | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
連盟・A | 最高位戦 | 協会 | RMU・A | 麻将連合 | モンド杯 | 天鳳 | M リーグ |
「プロ麻雀団体の統一」「プロ麻雀団体の統一2」では、連盟も参加した各団体の統一戦の開催は難しいのではないかと懸念を示しましたが、藤田社長が有能すぎることもあって、あっさりと実現にこぎつけました。団体が異なるプロがチームを組むなんて、想像もできませんでした。藤田社長すごすぎです。
2018年の流行語トップ10にも選ばれた「eスポーツ」は五輪の正式種目を目指していると言われていますが、藤田社長は麻雀の五輪種目を目指すという理想を掲げています。そのために前述のノーギャンブルのほか、いくつも画期的な試みを行っています。
囲碁や将棋のようにスーツを着てかしこまって対局することをやめ、各チームのユニフォームを着て対局を行います。そしてJリーグのように勝利者インタビューやパブリックビューイングも行われ、サポーターと一体となって勝利を喜ぶ企画を次々に打ち出しています。
サッカーのJリーグでは、J1が18チーム、J2が22チーム、J3が15チームで合計55チームもあります(U-23チームは除く)。Jリーグのクラブがないのは8県のみで、日本国民の大半が地元のクラブを応援できる素晴らしい環境です。
それに比べ、現在のMリーグは7チーム。藤田社長もJリーグが理想だと認めており、チーム数については悩んだとのことですが、まずは参加企業を絞り込んでチーム名と選手の名前を覚えてもらうことを優先しました。1993年に開幕したJリーグは10チームからのスタートでしたし、Mリーグもこれから徐々に広がっていくといいですね。
最後に藤田社長のコメントを紹介します。
「すでに2022年の北京冬季五輪に向けて国際麻雀連盟が室内競技の正式種目としてIOC(国際オリンピック委員会)に申請しています(中略)。日本代表チームを作るとなったら、当然Mリーガーから選ばれるでしょう。子供たちが『将来はMリーガーになりたい』と憧れるような世界を作っていきたい」
素晴らしすぎて、言葉も出ません。そんなことが実現したら、もう当サイトで書くネタはなくなるかも???