連盟プロの酷い解説

 2012/12/30up

 麻雀界に団体は数多くあれど、日本プロ麻雀連盟(以下「連盟」と略します)ほど酷い解説をする団体を私は見たことがありません。酷いというよりも、「厚顔無恥」という言葉がピッタリくるレベルです。モンド杯などのテレビ対局をよくご覧になる方は、きっと皆同じ思いだと思います。

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 麻雀の普及に貢献した小島武夫プロも連盟の所属です。1936年生まれ、ご高齢ながら第一線でいまだに頑張り続けています。それ自体は素晴らしいことなのですが、最新の戦術にはまるでついていけていません。ついていけないどころか取り入れようともせず、頑なに否定し続けることで己の存在意義を見出そうとしている姿は、見ていて滑稽です。

 2012年の第6回モンド名人戦での解説の時でもデジタル雀士・アナログ雀士という呼び名に対して文句をつけ、最近の若い雀士は安い手でアガリすぎる、モンド名人戦を見学に来いなどと「小島節」が炸裂。この小島節を楽しみにしている人も少しはいるでしょうし、そうでなくても、ここまでなら「ボケ老人の独り言」で片付けることができました。しかし調子に乗りすぎてだんだん発言がエスカレートし、とうとう言ってはいけないことを口にしてしまったのです。

 「俺は牌効率という言葉も好きじゃない。牌効率が何の足しになるの。場合によっちゃ、牌がない場合でもテンパイにして向かっていく場合があるからね。牌があるから必ずアガれるって、そんなもんじゃないからね

 いかがでしょうか皆さん。牌効率こそ麻雀の基本中の基本で、これを身に着けることが上達への第一歩なのは当然のことなのですが、小島はそれを否定しているのです。待ち牌が多いから必ずアガれるわけではない、というのは小島の言う通りです。しかし、だから基本を身につけなくてもよいということになるはずがありません。ちなみに牌効率について念のため説明しておきますと…。例えば以下は牌効率の基本問題です。メンゼンで手を進めるものとして、何を切りますか?

 一見を打ちたくなりますが、正解は打です。というのも、次にを引いたときの形に差があります。を切っていればとアタマにも順子にも使える十分形に構えられます。しかし切りですととなり、が余る形になってしまいます。

 モンドの番組は初心者の方も多数見ているでしょう。こういう基本問題をたくさんこなすことが上達への第一歩なのに、プロたるものがそれを否定してよいのでしょうか? 小島氏はプロとしての責任感が著しく欠けているようです。

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 小島の酷い解説など探せばいくらでも出てきますが、続いては前年の第5回モンド名人戦での解説から引用しましょう。

 「最高位戦グループはそういうの(後述の対子残し)が多いんだよ。だからソバテンが多いんだよ。ソバテンを平気でリーチ打ってくるんだよ、また」

 もしかすると最近麻雀を覚えた方なら、「ソバテン」という言葉を知らない恐れすらあります。それくらい、ソバテンを嫌うというのは時代遅れで古い戦術なのです。各団体のタイトルホルダーを見れば分かります。ソバテンを恐れて打つような雀士など1人も存在しません。ちなみに、ソバテンとはリーチ宣言牌のそばが待ち牌であることをさします(例えばリーチ宣言牌が待ちなど)。念のため解説しておきましょう。

 は安全牌。ここでを切ってピンフに決め打ち、安全牌を持つのが昭和の打ち方です。もちろん攻撃よりも守備を重視する場面では、そうすべき時もあるでしょう。しかし、何の制約もない場面であれば、ここはツモ切りの一手です。特に条件のない場面でを引いて暗刻にしてのリーチ攻撃を逃すような雀士は、かなりのヘボだと言わなくてはなりません。
 ピンフこそなくなりますが、ツモれば子でも1000・2000とまあまあの収入。一発や裏ドラがあれば満貫にだってなります。そう、これは十分にチャンス手なのです。ピンフに決め打つ理由など1つもありません。それからソバテンについても気にする必要はないです。最近発売された戦術書の中に、ソバテンは避けろと書かれた本は見たことがありません。例えば、以下の2つの捨て牌を見比べてください。

A. (リーチ)
B. (リーチ)

 Aは手なりで打った場合、Bはを先切りにした場合。どちらも待ちはです。強い(というか普通の)雀士はAの打ち方をしますが、小島らはよくBの打ち方を採用しています。そのせいでテンパイを逃すこともしばしばです。
 小島らの言い分では、Aだとリーチ宣言牌の周辺は警戒されて出てこないというのです。しかし、相手が勝負手ならAだろうとBだろうとを勝負してくるでしょうし、逆に勝負にならない場合はAだろうとBだろうとオリるだけの話です。たしかに厳密に言えば若干Bのほうがが出やすいのは事実ですが、大差ではありません。そんなことを気にしてを引いてのテンパイを逃すほうがはるかに激痛です。
 それからもうひとつ、を持ちすぎて相手から先にリーチがかかったらどうするんだ、という言い分もあります。しかしこれの答えは単純です。こちらもすぐにテンパイするなら、で放銃するのはやむを得ません。しかしテンパイしないようなら、相手の現物を打ってオリればよいのです。
 小島としては、ソバテンでリーチを打つ最高位戦所属のプロを批判したつもりなのでしょうが、実は小島をはじめとする連盟のベテラン雀士がいかにヘボであるかということを自ら告白しただけに過ぎなかったのです。この拙文を読んでくださっている皆様は、ソバテンなど恐れずテンパイ確率を最大限に高めることを心がけて打ってください。

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 「尊敬する雀士は小島武夫である」と公言してはばからない二階堂瑠美プロ。女流雀士の存在を世に知らしめる役割を果たしたことで有名な方ですが、残念ながら肝心の雀力が備わっていません。それは解説を聞いているだけでよく分かります。それでは、今回は「麻雀最強戦20周年記念 近代麻雀オールスター最強戦」での解説から抜粋してみましょう。東4局西家、2着目の森山茂和プロの9巡目の手牌です。同時に解説していた佐々木寿人プロとのやり取りです。

 瑠美「789の三色まで。を落として純チャン三色みたいなね」
 寿人「純チャンまではちょっとね。さすがに狙いすぎと思いますけど」
 瑠美「そ〜お?」

 なんと9巡目のこの手牌で、瑠美は純チャンを狙うというのです。まるで他の3人がチョンボでアガリ放棄になっている麻雀みたいです。ここから純チャン三色がメンゼンで仕上がる確率など1%もありません。断言します。

 次は南2局南家、トップと15,800点差の2着という馬場裕一プロの手牌の解説。これも寿人とのやり取りをそのままご覧いただきましょう。実はこれは実戦での進行ではなく、仮想の手牌です。もしこうなったら…という話をしています。

 寿人「(待ちのテンパイ)でほとんど満貫みたいな感じになるでしょうけど(注:上の手牌のことです)」
 瑠美「残してたら(上の手牌で)、私はツモ切ると思うから…
 寿人「・・・ツモ切るかなぁ」
 瑠美「私はツモ切るから。つまんないからね」
 寿人「やっぱそれは狙いすぎかなあと思いますね。そこまで意地になってチャンタを狙う必要もないかなあと」
 瑠美「手役って狙うものでしょ?
 寿人「…もちろんそうですけどね」

 寿人プロ、半分呆れ気味でした。当然ですね。瑠美はなんと上の手牌でをツモ切るというのです。のいずれかを引けばチャンタになりますが、これでは受け入れが狭すぎますし、なら結局チャンタが崩れるのです。一発・裏ドラありのルールですので、上の手牌では即リーチで十分でしょう。結果的に、上の手牌でリーチをかけているとハネ満になっていました。ちなみに実戦での馬場プロは上の手牌とは違った進行で手を進め、リーチ・ツモ・メンホン・三暗刻・ファン牌・ドラ4の三倍満という超ド級のアガリを物にしました。

 小島と瑠美に共通するのは、連盟内で大した実績を残していないわりに、テレビ対局などではシード扱いになっているという点です。つまり、結果を残さなくてもいい立場とさえ極言できます。小島は連盟に移籍後の約30年で、主要タイトル(鳳凰・十段・王位・マスターズ)を1つも獲得していません。瑠美は第17期最強位獲得などの実績はありますが、やはり主要タイトルは何ひとつ獲得していません。

 例えば最も有名なテレビ対局である「モンド杯」を例にとりましょう。連盟以外の団体は、タイトル獲得者かそれに近い存在の強いプロしか出場できません。ところが連盟だけは、タイトルと無縁の人間でもなぜか番組に出演できます。前述の佐々木寿人などもまるで有望な若手であるかのような扱いですが、実際にはタイトルとは無縁で所属リーグもB1。何年もB1に足止めを食らっており、いつまでもA2リーグに上がれていません。この程度のプロなど何十人も、いや何百人もいるでしょう。瑠美も同様ですが、連盟の「秘蔵っ子」としてチヤホヤされており、テレビ対局には必ず出演させてもらえるのです。

 小島も瑠美も、勝たなくてもチヤホヤされてテレビにも出られるわけですから、勝とうとする努力を怠ったのでしょう。それで勝敗を度外視した無茶苦茶な手役狙いをするつまらない雀士になってしまったのです。野球に例えれば「当たれば場外ホームランだがほとんど当たらず、三振を量産するバッター」といったところです。これを素晴らしいと思う人は少数派でしょう。

 勝てないだけならまだ良いです。しかし彼らはその無茶苦茶な麻雀ぶりを解説においてもいかんなく発揮し、観戦している善良なるアマチュア雀士に大いなる誤解を与える有害な存在となってしまっています。こうなってはもう救いようがありませんし、私としては黙っていられなくなったのです。特に連盟にはこういった有害な解説者が突出して大量にいますので、今後も徹底的に糾弾していこうと思っています。

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