角谷問題まとめ

 2017/4/29up

「ジャイアンが、急におとなしくなった」
「まるで人がかわったみたい」
「おかしくなったのかしら!?」
「気持ち悪い」

 それを聞いたジャイアンは怒りますが、ドラえもんの「かんにんぶくろ」という道具で怒りを鎮めました。しかしジャイアンが絶対に怒らないと聞いたスネ夫が後ろからジャイアンを蹴り飛ばしたところ、大激怒したジャイアンに追いかけられます。

 これは名作漫画ドラえもんの「ハッピーバースデイ・ジャイアン」に収録されているお話ですが、これが漫画だけのお話ではなく現実に起こってしまいました(もちろん後ろから蹴ったわけではありませんが)。これを俗に「角谷問題」「角谷事件」と呼ぶそうです。すでにネット上が炎上しておりさまざまな意見が出ている中ではありますが、私なりにまとめさせていただきました。連盟関連についてのソースは主に福地誠氏のブログです。

事の顛末

 2017年3月24日に行われた「四神降臨2017 王座決定戦」。対局者は近藤誠一(最高位戦)・角谷ヨウスケ(協会)・多井隆晴(RMU)・忍田幸夫(麻将連合)の4名のプロ。ご覧の通り、連盟は何の関係もない対局です。

 対局は角谷プロが終始劣勢で、最終半荘で親番を終えた南3局以降、優勝の可能性がなくなってしまったため、オールツモ切りで通しました。これは角谷プロがあらかじめ運営側と他の対局者3人に告げており、その時点では何ら問題視されませんでした。さらに、過去にも鈴木たろうプロ・木原浩一プロ(ともに協会)らが同じオールツモ切りを行っており、この時も何も問題視されず、処分も行われていません。

 ともあれ、この行為を外野の日本プロ麻雀連盟(というより森山茂和会長?)が問題視し、日本プロ麻雀協会に圧力をかけたところ、協会はあっさりこれを受け入れ、角谷プロに謝罪させたあげくに多くの公式戦を出場辞退させてしまいました…という説が有力です。しばらくおとなしくしていたと思っていた連盟が急に瞬間湯沸かし器のように怒り出したのです。

オールツモ切りについて

 オールツモ切りする理由は「自らが選んだ打牌で相手の勝敗に影響を及ぼしたくない」「オールツモ切りならあくまでも運しだいだが、何らかの意思が働いた打牌で順位が入れ替わったりしたら相手に失礼」ということでしょう。極端に言えば、自分の優勝がなくなった時点で自分の師匠や配偶者などに有利な打牌をする八百長が起きないとも限らないわけですから。そんな人が某連盟や某協会にいますよねえ。

 これについてはまだ意見が分かれており、現在のところ各団体ではルールで明確に禁止されていません。個人的には、オールツモ切りは好ましいものではないと考えています。もちろん明確なルールがない上に主催者も全く問題視していない以上、連盟がしゃしゃり出る筋合いはありませんが。

 そもそも麻雀は優勝以外意味がないという風潮が強い競技です。囲碁や将棋ではタイトル戦の挑戦者になるだけで大きな名誉が得られますが、それとは大差があります。2着・3着にもある程度の意味を持たせれば、オールツモ切りなど不要になるのではないでしょうか。このへんも含めた議論をしていく必要がありますね。

 なお、RMUでは「目無し問題の対策」を取り入れています。多井プロは2016年1月15日のツイッターで「視聴者を楽しませたいのとは別に選手を守りたいってのもあるの。やることないシステムで何かをしたら叩かれたりするのはツラい。特に思想の違いとかでのダメ出しは、、、」(一部句読点を追加)とツイートしていますが、この危惧が現実のものとなってしまいました。

ダンマリの麻雀プロたち

 この問題について反応を見せた麻雀プロは驚くほど少ないです。主要団体に所属しているプロは、当たり障りのないコメントをするか沈黙するかのほぼ二択。口を開けばどんな処分を受けるか分からないというのは理解できますが、ドス黒い世界なのだと改めて思い知らされます。将棋界では2016年10月に、三浦弘行九段のソフト不正使用疑惑問題において、将棋界を本気で憂えるプロたちが激論を交わしたのとは雲泥の差です。

 主要団体に所属していないプロや元プロのコメントはいくつか見つかります。「土井泰昭プロのブログ」では「連盟がチクリと言って協会が過剰反応したというのが両者を知る僕の見解だ」と書かれています。たしかにその可能性はありそうですね。

 連盟時代に私が対局させていただいたこともある加藤博己元プロのツイッターでは「私はオールツモ切り反対派です。但し、オールツモ切り賛成派の人の意見もなんとなくですがわかるのです。そして民主主義国家である以上、個々の考え方は明確な理由が無い限り尊重されるべきと思うのです。」と意見を述べています。ちなみに、連盟のサイトの問い合わせフォームにSSL(暗号化の技術)が使われていないことも暴露されています。

管理人・ブラックマの個人的な感想

 人間が生まれ持った性格がそう簡単に変わることはありませんし、腐敗した組織が一夜にして浄化されることもありません。天鳳との対局や団体最強決定戦を企画した連盟ですが、それはあくまで(金銭以外のことも含めて)利益になると判断しただけのことであり、決して連盟がまともになったわけではないと考えていました。したがって、北朝鮮がミサイルを発射するのと同じくらい、驚きも失望もしていません。

 私が失望したのは協会に対してです。連盟の圧力に屈したのか、それとも以前よりオールツモ切りを好ましくないと考えていたのかは分かりませんが、一方的にオールツモ切りをダメな行為と断じて、可愛い所属プロから公式戦への出場機会を奪うなんて。将棋界では前述の三浦九段が約2ヶ月半の出場停止処分を受けましたが、のちに名誉が回復されました。反論の機会すら与えられず、一方的に角谷プロを「処分」した協会は明らかにそれ以下です。

 もちろん協会も以前から八百長疑惑やあんなことやこんなことがある、問題ある組織であることは認識しておりました。しかしこれほどまでとは…。「至高の守備」で有名な五十嵐毅代表は所属プロも守れないのか! ってどこかの掲示板に書いてありましたが、私も同感です。とりあえず自宅にある五十嵐プロ関連の書籍の処分を始めることにします。気持ち悪くて、二度と読む気も起きません。仮に今後発売されてもレビューしません。

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