2013年4月、日本プロ麻雀連盟(以下連盟)の3代目の会長に森山茂和というプロが就任しました。彼の連盟内の主要タイトル獲得数を列記しますと、鳳凰0回、十段0回、王位1回、マスターズ0回です。ちなみに王位というのは他団体所属のプロも参加可能なオープンなタイトル戦で、最高位戦所属の飯田正人・新津潔らも獲得しております。
上記のようにビッグタイトルは獲得していないに等しいわけですが、なぜかテレビ対局にはよく呼ばれます。おそらく色々な政治力が働いているのでしょう。それはともかく、テレビ対局(それ以外も)での彼のマナーの悪さは群を抜いています。とてもではありませんが、アマチュア雀士の参考になるものではありません。それでは、とある雀荘のマナーを一部抜粋してみましょう。どこの雀荘でも採用されていると思われる、ごく普通のマナーです。
なんと森山は、上記のすべてに該当してしまうのです。私の家の近所の雀荘の店長は「森山みたいな打ち方をする奴がいたら、絶対に出禁(出入り禁止)にする」と私に宣言しました。しかし、実際には森山みたいなマナーの悪い客は近年ほぼ見かけません。プロであるならば、マナーの面においてもアマチュアの模範になるべきなのではないでしょうか。それがまるっきりできていない時点で、私はプロとして失格だと思います。
悪名高い2011年の第28期十段戦では、2日目(8回戦)終了時点で瀬戸熊直樹が独走状態で、森山は5人中最下位でした。にもかかわらず、インタビューにおいて森山は「みんなどれだけ瀬戸熊さんを助けているか分かってないようでは、瀬戸熊さんを捉えるのは無理。絶対に無理」と発言しています。まるで「俺が負けているのはほかの3人のせいだ」と言わんばかりです。恐ろしや。
森山はマナーが最悪なうえに、とにかく辛口の解説をすることで有名です。辛口でも言っていることが正しければ、それなりの存在価値があるのかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。「近代麻雀オリジナル 2013年2月号」の「魁!!森山塾」というコーナーから抜粋してみましょう。
担当「あけましておめでとうございます」
森山「おめでとう! 今年もできるだけ分かりやすくと思ってはいるけど、デジタル麻雀みたいに単純ではないし、アタマ使わないと出来ない麻雀だからね」
担当「新年初辛口ですね」
森山「そうかなぁ。だいたい最近の若い人は麻雀を深く考えないんじゃないのかな」
担当「そんな事はないでしょう」
森山「麻雀の場合はね、基本がおそろかでも勝っちゃう人は沢山いるから、麻雀は簡単だとなめてしまうんじゃないかね」
(以下、あまりにも無駄な長文が続くため中略)
東家( 5,500)の捨て牌
南家(42,300)の捨て牌
西家(31,800)の捨て牌
北家(20,400)の捨て牌
森山「大事なのは親の点数なんだ」
担当「もう虫の息の親が?」
森山「そう、その虫の息を利用して、親の息の根を止めてやらないといけないんだよね。特に親が弱っている時は絶好の叩き時なんだよ」
担当「新年早々怖いこと言いますね。新年初ゾッとしましたわ」
森山「ツモった時に倍払わなければならないのは誰?」
担当「それは親です」
森山「ということさ。不調の人が親になると、子方が高い手をツモる。簡単に言えばそういうこと。まずはを切っておいて、その後のツモ次第では
も切ってメンタンピンを目指す。もっとうまくいけばタンピン三色だってある。これが基本でまずはポジティブに考えておく」
(以下、あまりにも意味不明な解説が続くため中略)
担当「なるほど。では、最後になりましたが、塾長の今年の抱負を聞かせてください」
森山「麻雀ファンの皆さんが楽しめて強くなる真髄を提供できたら嬉しいね。それがプロの役割だから。誰にでも出来るレベルの低い麻雀しか見せられないのはプロ失格。ファンに感動を与えられる麻雀を打たないと消えて行くだけだよ。デジタル麻雀なんて言ってるプロはファンにも笑われるだけだと思う」
担当「早くも新年2回目のデジタル批判っすか!」
森山「プロの辞書にデジタルなんて言葉は無い。あくまでもプロの話だけど。でもせっかく麻雀やってるんだから、読者の皆さんにも高いレベルを目指してほしいね!」
長すぎるので全部を抜粋するのはやめましたが、これを読んでいかがでしょうか。森山の言いたいことをまとめますと「最近の若いプロやアマチュアのデジタル麻雀は単純すぎる。プロはもっと深いところで打つべき」といったところでしょうか。私は別にデジタル麻雀を普及させようとするつもりはありませんし、アナログ麻雀を全否定する気持ちもありません。しかし、言っていることが支離滅裂な森山の文章だけは全否定しなくてはなりません。
まず、「不調の人が親になると、子方が高い手をツモる」と決めつけています。もう、ここから理解不能です。これは「最近の若い人」はおろか、麻雀の神様にもとうてい理解できない文章でしょう。なぜならどこにも根拠がないからです。私がこの駄文を見せられると、こんな疑問を持ってしまいます。
「好調・不調の定義とは何ですか」
「自動雀卓、手積み卓、ネット麻雀、テレビゲームの麻雀、カード麻雀など、いかなる環境でも同じなのですか」
「親が不調だと子方は必ず高い手をツモるのですか。そうならない確率はどれくらいのものですか」
おそらく森山には答えられないでしょう。せいぜい「俺の経験則だ」と逃げるのが精一杯でしょうか。その経験則とやらで鳳凰0回、十段0回、王位1回、マスターズ0回という素晴らしい実績を残してきたわけですが、こんなものを信じろというほうがおかしな話です。
それからもうひとつ、上の手牌でタンピン三色などと風呂敷を広げるのも信じられません。タンピン三色どころか、メンタンピンに仕上がる確率も相当低いでしょう。5巡目の段階でまだ1メンツもできていませんし、好形でもありません。ドラやカン
カン
など急所になる牌が多すぎて、普通のプロならとてもタンピンに仕上がるとは思わないでしょう。森山は「ポジティブに考えろ」と解説していますが、「今年こそ宝くじで1等が当たる」くらいの超ポジティブ思考が要求されると思います。
や
を落としているのが気に入りません(これは森山も同意見のようです)が、私なら七対子を本線に考えます。将来安全牌になりそうな
を落とすことは絶対にあり得ません。テンパイが入る前に誰かからリーチがかかれば、さっさと手じまいします。当然のことですが、親も反撃を狙っているのです。「点棒が少ないから、親からリーチは入らないだろう」などとのんきなことを考えるような人は、それこそ「プロ失格」です。「ファンに笑われる」のは、決してデジタル麻雀ではありません。
日本将棋連盟では、2012年12月に人格者として名高い谷川浩司氏が新会長となりました。googleで「谷川浩司 z」まで入力すると、「人格者」というキーワード予測が出てきます。棋士にもファンにも評判の高い素晴らしい棋士なのです。それにひきかえ日本麻雀連盟は・・・。麻雀団体は1つではありませんし、他団体には素晴らしい会長もいらっしゃいますけども。
ちなみに、日本将棋連盟の理事は棋士たちによる投票で選出され、会長は理事の中から選出されます。しかし日本プロ麻雀連盟は将棋や囲碁とは違い「棋士総会」のようなものがなく、どういう基準で理事や会長を決定しているのかは不明です。最高位戦日本プロ麻雀協会など他の麻雀団体には総会があるのですが、なぜか連盟だけは存在しません。国家に例えれば、国会や国民選挙がないためどういう経緯で選ばれたのか不明な総理大臣が、予算を好き勝手に使うようなものです。なんと恐ろしいことでしょうか。