十段位戦 酷すぎる優勝予想

 日本プロ麻雀連盟のタイトル戦のひとつ、十段位戦。連盟のピラミッド構造の象徴ともいうべきタイトル戦であることは、前回説明いたしました。2011年の第28期十段戦の各プロの予想がこちらに掲載されています(リンク切れにご注意ください。ファンからの非難が殺到しているらしいので、もしかすると削除されるかも…)。

 瀬戸熊直樹は小島・森山らのお気に入りで、堀内が嫌われていることも前回書きました。この予想にも、それがしっかり反映されています。いや、予想というシロモノではありません。いい歳したオッサンの独り言と、そのオッサンに媚を売るプロのつぶやきとしか呼べないでしょう。それでは、とくとご覧くださいませ。

・小島武夫プロの予想
 ◎は森山。〇は瀬戸熊。あとの3人はこの2人に比べたらまだまだ甘い。仕掛けも多く隙がある麻雀なので問題にならないだろう。とにかくプロとして品のある麻雀を打ってもらいたい。チー、ポンが激しいのは見ていられないから、そんな品のない打ち方はつまらない(全文抜粋)。

 →「誰もお前の好みなんか聞いてねえよ!」と言いたくなりませんか? 現役のタイトルホルダーであった堀内正人の麻雀を「甘い」と切り捨てていますが、ではそんな堀内に前年敗れたプロたちは一体何なのでしょうか。あと、品のある麻雀って何でしょう。目無しのくせに安手でアガる森山の麻雀は品があるのでしょうか。

・前原雄大プロの予想
 物事には、すべからく道理と言うものがある。必然と言い変えても良いかも知れない。麻雀も同じ事で、道理から考えれば他の3人の方々には申し訳ないが、森山茂和プロ、瀬戸熊鳳凰以外、考えられない(全文抜粋)。

 →新手の宗教でしょうか。必然って何ですか? 道理って何ですか? 前原先生の文章は一般人である私にはもはや理解不能です。タイトルホルダーの堀内の優勝が「考えられない」なのはなぜですか? 結果は改めて書くまでもありません。森山は優勝争いに全然絡めず敗退、堀内は最後まで食い下がりましたが、その森山に邪魔をされてしまいました。ちなみに、前年「考えられない」堀内に惨敗したのは、この前原先生なのであります。

・宮内こずえプロの予想
 本命は、泣く子も黙る鳳凰位様です! 対抗は、アトミックリーチ森山プロ。ディフェンディングの堀内君も気になりますが、森山プロに圧倒されてしまうのでは…(一部抜粋)。

 →上のプロに逆らえない宮内の立場は大いに察するところです。この文章に、連盟の空気というものが集約されているのではないでしょうか。

 ちなみに、森山が獲得したことがある主要タイトルは、はるか昔の話ですが1981年の王位(第9期)くらいのもの。他にはテレビ対局での優勝もありますが、麻雀のテレビ対局は選ばれた数名(最近は8名が多い)が参加するだけなので、十段位のタイトルなどに比べればはるかに価値は下なのです。ちなみに将棋や囲碁のテレビ対局は、予選も含めて基本的に所属全棋士が参加しますので、優勝には大きな意義があります。

 森山は組織運営などで忙しいので、鳳凰戦リーグには参加していません。プロ歴が長いのに十段位も鳳凰位も獲得したことがなく、近年は実戦数が不足しているプロをこんなに持ち上げる連盟のプロって…。そんな人間に現役のタイトルホルダーが「圧倒されてしまう」のでしょうか。そんな人間が勝つのが「道理」であり「必然」なのでしょうか。「連盟のレベルは低い」と言っているにも等しいですね。

 前原は十段戦のタイトル情報を書いていますが、その中に「今回の優勝予想の記を見ればよく解る事である。誰のコメントを見ても的外れなものはない」と記しています。7人のプロの中で、優勝争いに絡めなかった森山を4人が本命、1人が対抗に挙げているのは的外れではないのでしょうか。7人中6人が最後まで優勝争いに絡んだ堀内を無印にしたのは的外れではないのでしょうか。ま、この文章を書いている前原本人が的外れな予想を書いているのですから、仕方ないことですか。

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