団体ごとにバラバラのルール

 2018/5/26up

 初めて行くフリー雀荘では毎回長々とルールを説明されてウンザリ。セット麻雀を打とうとしても、対局開始前にルールの取り決めを色々しなくてはならずゲンナリ。統一ルールがないことにより、我々アマチュアは実に面倒なことを強いられているのです。

 それどころか、プロですら完全に把握していないのです。2011-12シーズンの第12回モンド杯に初出場した金太賢プロは、対局中に突如「ツモ番のないリーチはかけられますか?」と発声しました。実況の土屋和彦氏からリーチが可能である旨説明を受けるとリーチを敢行したのです。これはたしか、宣言牌で放銃だったように記憶していますが。

 「プロのくせにルールも覚えてないのか!」という批判も成立するでしょうが、私は金プロに対しては同情的です。どれだけ各団体・各大会でルールがバラバラか、以下を見ていただければ分かると思います。

現在の麻雀ルール一覧

 主要なプロ5団体と、テレビ対局であるモンド杯、そしてネット麻雀サイト最大手の天鳳、計7種のルールを比べてみましょう。「連盟A」は、鳳凰などの主要なタイトル戦で採用されており、ほかにBやCルールも存在します。RMUも同様。他の3団体は、いずれも最も価値の高いタイトル戦のルールのものです。
連盟・A 最高位戦 協会 RMU・A 麻将連合 モンド杯 天鳳
スタート時の持ち点 30,000点 30,000点 25,000点 30,000点 30,000点 25,000点 25,000点
順位点 特殊 10・30 10・30 5・15 4・12 10・20 10・30
オーラスのアガリやめ なし なし なし なし なし なし あり
ダブロン なし(頭ハネ) なし(頭ハネ) なし(頭ハネ) なし(頭ハネ) なし(頭ハネ) なし(頭ハネ) あり
ツモ番のないリーチ 認めない 認めない 認める 認める 認める 認めない
九種九牌・四風連打 流局 続行 続行 続行 続行 続行 流局
4人リーチ 流局 続行 続行 続行 続行 続行 流局
喰い替え  現物以外は可 不可 不可 不可 現物でも可 不可 不可
国士無双のアンカン和了 認める 認めない 認めない 認めない 認めない 認めない
流し満貫 認めない 認めない 認めない 認めない 認めない 認めない 認める
30符4翻の点数(子) 7,700点 満貫 満貫 満貫 7,700点 満貫 7,700点
連風牌のアタマの符計算 4符 2符 2符 2符 2符 2符 4符
人和(レンホー) 満貫 なし なし なし なし なし なし
連盟・A 最高位戦 協会 RMU・A 麻将連合 モンド杯 天鳳

 細かいところ、ややこしいところは省略しました。主なものだけを抜粋しても、こんなにバラバラなのです。これでは、仲間で打つときにも困りませんか?

 前述の「ツモ番のないリーチ」は、金プロが所属する日本プロ麻雀協会では成立しますし、モンド杯でも成立します。表には記載していませんが、最強戦でも成立します。しかし連盟や最高位戦が主催するタイトル戦では成立しません。こんなものを全部暗記するのはプロでも大変でしょう。

シンプルかつ初心者に優しいルールに統一すべきだ

 麻雀をノーギャンブルかつクリーンなイメージに、子供や主婦やお年寄りにとっても簡単で覚えやすく楽しいルールにすべきです。私の案では、もちろんそのルールでプロも打ってもらいます。

 そうすると、まず30符4翻(場ゾロを含めて6翻)の7,700点というのは面倒くさいので絶対に廃止です。それから国士無双については、特定の役に特殊なルールを作ることはややこしいので、アンカンの槍槓(チャンカン)はなし。13面待ちに限り自分が捨てていない牌のフリテンアガリを認めるというルールも存在しますが、これも当然なしです。

 それから、トップだけが偉いという風潮にもメスを入れます。「2位も勝ち」を定着させるために、順位点は敢えてモンドルールの10-20を提唱します。つまり、トップは2万点(プラス場の2万点)、2位は1万点、3位は△1万点、ラスは△2万点です。2位と3位の間に2万点の差を作ることにより、相対的に2位の価値を高めています。10-30よりもラスに優しいので、このルールが最も初心者は楽しめるはずです。

初心者向けのルールがあってもいい

 今までさんざん統一と書いてきましたが、私の意図は「ガチガチに1つに統一する」というものではありません。もちろん根幹となるルールは1つにすべきですが、そこから枝分かれするのは大いにアリだと思っています。

 例えばこんなふうにしても良いでしょう。一発・裏ドラなしの競技麻雀向けのAルール、それに一発・裏ドラを加えたBルール、さらに赤ドラを加えたCルール、それにチップを加えたDルールといった具合です。なるべく簡素にするため、順位点その他の部分は一切動かさず、裏ドラなどの部分だけを変更します。

 そして初心者向けのEルールを作ってもいいでしょう。まずは麻雀の楽しさを味わってもらうため、符の計算を一切なくしてしまうのです。子の1翻は一律1,000点、2翻は2,000点、3翻は4,000点でもいいのですが、いずれ正しい点数を覚えてもらうため3,900点にします。ちなみにこれは私のアイディアではなく、「古き良き麻雀本レビュー」のページで紹介している「3日間でわかる麻雀の本」(狩野洋一)から採用しました。

 「今日はどのルールにする?」「Cルールにしようよ」で通じる世の中が私の理想です。ルールの統一には、団体の統一も必要になるのではないでしょうか。

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