「四神降臨」は神対局

 2013/5/4up

 私が日本プロ麻雀連盟(以下、連盟と書きます)のことを厳しく糾弾しているのは、麻雀を深く愛しているからこそです。このホームページに関しては、実は一切の宣伝活動を行っていないのですが、連盟批判のキーワードでご訪問くださる方が多く、おかげでアクセス数もかなり増えてまいりました。この場を借りてお礼申し上げます。

 とはいえ、批判ばかりでは読んでくださる方も疲れるでしょうから、何かを褒めたいなと思いました。そうすると真っ先に思い浮かんだのが、今回の「四神降臨」の対局です。ぜひDVDを見てほしいと思いますので、ネタバレは最小限にとどめます。まだご覧になってない方も、安心して以降の文章を読んでくださいませ。

 初めに書いておきますが、これは本当に素晴らしいです。私が今まで見たプロの麻雀対局の中では、断トツでナンバーワンです。ニコニコ生放送」の放送終了後のアンケート(「とても良かった」「良かった」「あまり良くなかった」「良くなかった」の四択)では、なんと「98.2%もの方が「とても良かった」と回答したのです。ちなみに悪名高い連盟の「第28期十段戦(2011年)」では、「良くなかった」が24.8%! でした。このアンケートは途中退席者は回答できませんので、最後まで見た人の4分の1が「とてもつまらなかった」と思ったわけです。これは麻雀だけでなく、すべてのニコニコ生放送の中でも歴史に残るほどの低評価だったのでした。途中退席した人が大量にいたことを考えれば、いかに多くの人がつまらない対局だと思ったか、お分かりいただけるでしょう。

 さてそれでは、今回の対局者をご紹介しましょう。各団体の当時のタイトル保持者が選抜されました。最高位戦日本プロ麻雀協会からは石橋伸洋、日本プロ麻雀協会からは鈴木達也、麻将連合からは小林剛、RMUからは多井隆晴です。数ある麻雀団体の中でプロの人数だけは最も多い連盟は「天鳳名人戦」にも参加してませんし、この対局にも参加していません。理由は不明ですが、実力がバレてしまうのが怖かったのでしょうか。

 さあ、それでは対局の模様の一部を紹介します。この対局は半荘4回戦ですが、なるべくネタバレにならないよう、1回戦目の東場の一部だけをご紹介します。まずはある局の多井の以下の手牌から。

 ドラのはション牌。このとき多井の点数状況は苦しかったので、タンピン三色のテンパイになればドラも叩き切るところでしょう。そんな中、13巡目に引いたのがでした。実は小林(親)がをチーし、石橋がをポンして仕掛けていたのですが、どちらも1フーローでテンパイかどうかは微妙なところ。私ならまず間違いなくを切るでしょうし、プロでもそうする人が多いと思います。しかし長考した多井はを中抜きして完全にオリてしまいました。点数が必要な場面なのにです。

 実はこのは親の食いタン(1500点+積み棒)のアタリ牌だったのです。これは見ていてシビれましたね。甘い牌が次々と出てくる連盟のタイトル戦とは大違いです。これぞプロの対局です! さて、続きましてはある局の石橋の手牌をご紹介しましょう。点数的にはまあまあ余裕がある東場の散家(子)ですが、さて何を切りますか?

 私のような凡人はノータイムでを打ちます。しかし石橋は切り! もちろん石橋も牌効率では切りが最善であることを承知でしょう。切りの意味は、456・567の三色かでのアガリのどちらかに絞ったという意味と思われます。を切ってしまうと、をアタマにしてのリーチのみになる恐れもありますが、それを嫌ったのでしょうか。あくまでもこれは私の推量であって、石橋はもっと深い読みを持っているのかもしれません。この打牌もシビれましたね。半荘1回目の東場だけで何回シビれたか、数えきれません。

 これが「四神降臨」の概要ですが、土田浩翔プロと片山まさゆき氏の解説も非常に良かったです。彼らは4人の対局者の魅力を余さず紹介し、事あるごとに彼らを絶賛していました。小島武夫や森山茂和みたいなのが解説していたら、せっかくの神対局が台無しになっていたでしょう。

 こんな素晴らしい対局を見せられると、当然の疑問が脳裏に浮かんできます。「数ある麻雀団体を統一できないのか」と。囲碁や将棋のように事実上1団体で行えば、常にレベルの高いタイトル戦が見られるのです。もちろんこれにはメリットもデメリットもあるでしょう。後日機会があればまとめてみようと思います。

HOME