プロ麻雀団体の統一2

 2015/4/20up

 前回は「麻雀界をなるべく統一したほうがよい」という意見を書かせていただきました。これは麻雀ファンなら当たり前の願望ではないでしょうか。ただでさえ、一般人はおろか、麻雀ファンの間ですらプロ麻雀界に興味がないという人もかなり多いのです。分裂して好き勝手にやってる場合ですか?

 プロ野球に例えれば、セリーグ・パリーグがさらに分裂して5つも6つもリーグが分かれ、しかもチャンピオン同士の対戦が行われないようなものです。リーグが増えすぎれば当然レベルは低下しますし、ファンの興味も得られにくいものです。バスケットボールでは、NBL・bjリーグを統一するよう国際バスケット連盟(FIBA)から再三勧告を受けております。

 「麻雀=賭博」という印象が強すぎるのも、麻雀の普及の面からマイナスです。数十年前は、賭け将棋なるものも流行していましたが、日本将棋連盟が長い時間をかけて普及に努めた結果、最近はそういうイメージは一掃されました。しかし麻雀は団体が乱立し、各団体がバラバラに好き勝手なことをやっているので、いつまでたってもそういう方向には向きません。もちろん各団体とも、ある程度普及活動を行っているのは承知しています。

 日本将棋連盟は公益社団法人で、囲碁の日本棋院は公益財団法人です。「いつか麻雀にも統一した公益法人が誕生してほしい」というのが私の願いであります。麻雀では前回紹介した「101競技連盟」が一般社団法人ではありますが、公益法人ではありません。公益法人の定義はいくつもありますが、最も代表的なのは「公益目的事業の費用の比率が全体の50%以上であること」です。賭け麻雀などはもってのほかであります。

 お金を賭けなくても、麻雀は楽しいゲームです。だって、最大のネット麻雀サイトである「天鳳」では、1円の得にもならないのにあんなに大勢の利用者(登録者約318万人)がいるじゃないですか。

 前回も書きましたが、統一ルールの作成も急務と言えます。友人たちと麻雀をやるのでも、いちいちルールの確認をしなくてはいけません。囲碁や将棋で、対局前にルールの確認なんてあり得ません。友人と対局する場合でも、せいぜい持ち時間の取り決めだけで事足ります。

 もちろん、実現の可能性がかなり薄いことは百も承知でこのコラムを書いています。連盟が最高位戦と合体するなんて、少なくとも森山茂和氏の存命中は2万%あり得ないでしょう。良くて、せいぜい「最高位戦を吸収合併するという形ならいいよ」と突き返されるのがオチというもの。

 誰もが思いつく妥協案として、「各団体のトッププロが対戦する新しいタイトル戦を創設すればいいじゃないか」というものがあります。似たような取り組みとして「四神降臨」がありますが、これをさらに発展拡大させようというものです。これは悪くはありませんが、懸念材料が多いのも否めないところ。

 やはり最大の課題は、プロの人数だけは最多を誇る連盟が参加しない公算が強いというところでしょう。理由はいくつもありますが、「四神降臨」が「麻雀スリアロチャンネル」で放送されているのに対し、連盟は独自に「日本プロ麻雀連盟チャンネル」というものを持っています。仮に「四神降臨」に連盟を加えようとすれば、参加を拒否するか「連盟チャンネルで放送させろ」と要求するのは目に見えています。実際、スリアロチャンネルのメールマガジンを読むと、まさにその通りだと思えてきます。

 いくら団体の運営方針が真っ黒だろうと、連盟所属のプロにはやはり強豪が多いのです。連盟が参加しない限り、「瀬戸熊直樹とコバゴーは、どっちが強いんだろう?」という純粋な疑問を解決することはできません。したがって、まずは新タイトル戦創設前に各団体の関係改善が不可欠となってくるでしょう。

 もうひとつの課題として、その新タイトル戦に注目が集まりすぎて、団体内のタイトル戦の価値が低下しかねないという点も挙げられます。3団体程度までなら大丈夫でしょうが、現在のように団体数が多すぎるのでは、「頂上決戦だけ見れば十分だろう」と考える人が続出しても何ら不思議ではありません。

 とある麻雀プロはご自身のブログで「各団体は協力するべきだが、統一する必要はない」という見解を示し、理由として「統一すると各団体のプロが集まるお祭り感がなくなってしまう」「統一になれば当然コンテンツ(≒タイトル戦の数)が減り、その結果優勝して名前を売るプロが減ってしまう」というものです。これも一理あり立派な意見ですが、私は賛同しません。

 あくまで個人的な意見ですが、私はお祭り感など不要と考えます。囲碁界や将棋界は、お祭り感などなくても立派に運営しています。例えばプロ野球でも、2005年にセパ交流戦が導入された当初は大きな盛り上がりを見せたものですが、今は当たり前となってしまい「お祭り感」は皆無に近くなっています。試合数も2005年の36試合から、2015年は18試合にまで削減されてしまいました。格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ」も、毎年のようにリリースされてお祭り感が年々減少していったのでした。

 コンテンツの減少については、私は「そもそも現状のコンテンツの注目度があまりに小さすぎるから、統一して注目度をアップさせたほうがいい」という考えです。街中のフリー雀荘に来ているおじさんに「現在の鳳凰位と最高位と雀王位は誰?」と質問して、3人とも即答できる人がはたしてどれだけいるかを想像してみればいいと思います。これよりマイナーなタイトル戦であればなおさらです。小さな団体の小さなタイトル戦で優勝する意義は、残念ながら極めて限定的なのです。

 麻雀プロは囲碁や将棋のプロとは違い、各団体から給与を受け取るどころか、逆に年間数万円の年会費を納めている立場です。満足な収入を得ているのは一部のトッププロだけという厳しい現状があります。各団体を統一することで運営基盤の強化につながり、ひいては麻雀プロの地位向上・待遇改善にも、少しずつではありますがつながっていくのではないかと考えています。

 これで書ききったのか、私自身にもよく分かっていませんが、ひとまずこの問題については筆を置こうと思います。また何かありましたら、追加で更新することがあるかもしれません。最後に付記しておきますが、「統一する必要なし」というご意見も納得できますし、「統一するのが絶対に正しい!」というわけではありません。

 

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