Mリーグ2年目に見える課題

 2020/1/8up

 2018年10月に開幕したMリーグ。2019年10月からは、8名の新しいプロを加えて2年目に突入しました。2年目の各チームのプロ一覧は「こちら」。最低400万円の年俸が保証され、Mリーガーにとっては純粋に麻雀だけに打ち込むことができる素晴らしい環境ですが、2年目になって新たな課題も見えてきました。

もっとプロの数を絞ったほうがよいのでは?

 「実力が微妙なプロがいるためつまらない」という意見は1年目からよく見かけます。確かにその通りで、麻雀は1人弱い人が混ざるだけで、牌譜がつまらないものになってしまうことがよくあります。2019年11月1日に行われた実戦譜から紹介します。牌譜は「こちら」のサイト様から拝借しました。

 実戦では切りですが、これは完全な誤打です。「配牌が悪い時はオリ気味に打ちながら、あわよくばチャンタか国士無双になるかも」というのが一発・裏ドラなしの競技麻雀ルールでしばしば登場するのは分かりますが、この手牌ではドラ・赤ドラが1枚ずつあり、他もそこまでバラバラではないのですから、普通に打ち進めて良いのです。まして赤入り麻雀でチャンタを狙うのはレアケースと言えるでしょう。実戦のツモをたどると、7巡目にはこのテンパイが可能でした。

 もっとも、を引くのは6巡目なので、をカブるのは致し方なしでしょう。しかしマンズの2メンツを作り損なっているのは、もう見ていられないほど酷い打ち筋です。実戦ではアガる気ゼロの打ち回しの結果、たろうプロの先制リーチを許し、松本プロが親満をツモるという結果になっています。

 そして高宮プロは3着目でオーラスを迎え、以下の手牌となりました。

 実戦ではをツモ切りにしていますが、これはいかがなものかと。あたりを引けば、がアタマになる可能性もあるのですから、ここは字牌切りの一手。

 もちろん高宮プロもそれを承知の上で、将来の安全牌候補を残したか、あるいは下家のラス目のたろうプロの仕掛けを警戒したものと思われますが、3着目なら目いっぱい攻めなきゃダメです。結果的に高宮プロは満貫をアガって2着に浮上していますが、手順としては間違っています。

 こんな闘牌ばかり見せられたら、プロを減らせという意見にも説得力がありますね。もちろん高宮プロだけの問題ではありませんけれども。

前原プロの「ラオウ」ポーズに賛否両論

 2019年10月22日、KONAMI麻雀格闘倶楽部の前原雄大プロがトップを取ると、同卓者に一礼後、ゆっくりと天に指を突き上げる新ポーズを披露。漫画「北斗の拳」のラオウのようなポーズであることから、Twitterなどでは「ラオウポーズ」と呼ばれることが多いようです。その後チームメートの佐々木寿人プロも同ポーズを披露しました。


※画像はAbemaニュースより拝借しています。

 「色々な意見が出ていることは盛り上がっている証拠」「ルール違反でないなら良いと思う」という容認・擁護意見の一方で「不愉快」「対局相手に失礼」「前原プロを嫌いになった」などの批判意見が続出しています。

 テレビ対局でトップを取っても無表情でいるプロも多い中、何らかのパフォーマンスを披露したほうが盛り上がる、という意見は全く分からなくはありません。ただ「サッカーでもゴールを決めたらパフォーマンスを見せているじゃないか」という意見には全く賛成できません。サッカーは昔からそういう文化があるだけのことで、逆に相撲や柔道などではパフォーマンスは皆無です。麻雀でもそういう文化がない中、唐突にパフォーマンスを取り入れたことに対する反対意見が出るのは当然のことでしょう。

 前原プロに悪意がなかったと思われるのは理解できます。ただ、ヘンテコリンなパフォーマンスをやるよりも、対局後のインタビューでしっかりとした答えをするほうがファンは何倍も喜ぶのではないでしょうか。

 というのも、このポーズをやった直後のインタビューで照れてしまったためか、前原プロからまともなコメントが返ってくることはありませんでした。これもおそらくは、悪気があってのことではないと思うのですが、勝利のコメントのほうを聞きたいと思ったのは私だけではないでしょう。

 私は「パフォーマンスを絶対にやるな」という意見ではないのですが、唐突にパフォーマンスを強引にぶち込んでインタビューにまともに答えられないくらいなら、やらないほうがはるかに良いです。また、やるならば全チーム一律で取り入れて、シーズン終了までそれを継続するべきでしょう。

 というのも、麻雀格闘倶楽部は12月1日に「一定の役割を終えたとして前向きに、ポーズは凍結します。チーム側で決定し、選手にご理解頂きました。次はどこで何しましょうね!!」とツイートし、何もかも中途半端なまま逃げてしまったのです。この有様では、ヘンテコポーズを擁護することは、私には無理です。

細かいルールの整備が必要かもしれない

 もともと麻雀は、ルール以上にマナーが重要視されるゲームでもあります。各団体のタイトル戦では「上層部の気に入らないプロをよってたかっていじめた件」などを除けば、それほど問題になることはありませんでした。しかしMリーグでは「もっとルールを細かく規定することが必要だな」と思わされる場面が増えました。

 前述のヘンテコポーズの件でも、麻雀格闘倶楽部では「終局挨拶後であり、ルール上の問題はない」という酷い見解を示しています。そりゃ「ポーズをとってはいけない」なんてルール、あるはずがありません。言うまでもないことですが、これはマナーの問題なのです。

 通常「スーパーのレジで順番を抜かしてはいけない」なんてルールはありませんし、「電車で化粧をしてはいけない」なんてルールもありません。これはルールではなくマナーの問題です。「ルール違反でなければ何をやってもよい」なんていうのは、社会不適合者が言うことです。

 しかしこういう問題が起きてしまった以上、細かいルールを整備することが必要になってきているのかもしれません。

 ヘンテコポーズ以外にも「強打がうるさい」という意見が多く出ています。ルール上は「強打は禁止としないが、度重なる場合は罰則対象になることがある」「局面と関係ない場面での強打・長考が度重なる場合はイエローカードの対象」と規定されていますが、これは曖昧です。

 明文化するなら「一切の強打禁止」「2シャンテン以下での強打禁止」「○○デシベル以上の強打は禁止」もしくは「一切の強打はOK」といったようにすれば、曖昧さがないので分かりやすくなるでしょう。しかし、なんだか寂しいと思うのは私だけでしょうか。

 もちろん強打についても、賛否両論が飛び交っています。とても難しい問題です。

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