2020年以来、約4年半ぶりに天鳳位のCLSさんと対戦させていただく機会を得ました。天鳳位になる前は私と17回も対戦しているのに、天鳳位になられてからは天鳳を打つ機会が減ったようで、対戦することが困難になってしまっていたのです。
まずは私の視点から。東1局、CLSさんから先制リーチが入っていますが、このを鳴きますか?
これは鉄チーですね。ラス回避ルールではただオリればいいというのではなく、相手のリーチを叩き潰すのも重要。リーチに対してリャンメン待ちの2,000点は強いのです。実戦では全ツッパしましたが2人テンパイで流局。CLSさんの手はのシャンポンで高目5,200点(裏ドラは乗らず)の手でした。
東2局。ここからCLSさん視点です。自分は親で子の2人が仕掛けていますが、さてここでは何を切りますか?
これは微妙。のどれを切っても誤打とは言えないでしょう。
はション牌ですけど、ピンズの一色手で仕掛けている対面には今なら通りそう。ピンズも字牌も1枚も余ってないのに当たったら、それは交通事故です。
マンズは場に安いとはいえ、が2枚切れているのは気になります。チー出来ない手なので、このペンチャンと心中するのはつらいですね。ということでCLSさんは
を押さえて打
で迂回。私も同じ考えです。実戦では
は最後まで3枚とも山におり、結果論で言えば通っていました。この局はおとなしくしていたと思った北家が仮テンの単騎待ちで満貫のアガリ。
東3局、この手牌で何を切りますか?
ドラがですが、第一打に
を切っています。そう考えると打
で良さそうなものですが、CLSさんは打
の2シャンテン戻しを選択。これは面白い一打ですね。
がともに1枚切れで、このまま一直線に手を進めると安いうえに受け入れも狭くなってしまいます。ならばフリテンを覚悟のうえで、手を再構築しようという意図でしょう。懐の広い一打でした。その結果、こんなテンパイで追っかけリーチを果たしています。
結果はおとなしくしていたと思った対面がダマで上家から満貫のアガリ。すごいなこの卓。
続いて南1局。2人リーチが入り、自らもテンパイを果たしましたが、さて何を切りますか?
直前に上家から出たをスルーしています。そして実戦ではここでもテンパイを取らず
をツモ切り! これはすごい。私ならスジの
くらいは、ドラでもしぶしぶ押しそう。たしかに
待ちに自信は持てませんが、この後
あたりを引いて好形に変化する余地があります。しかしわずかなリスクも負わないという覚悟なのでしょう。結果は2人テンパイで流局。
CLSさんがトップ目で南3局を迎え、カンチャン待ちですがテンパイしました。リーチしますか?
CLSさんは打でダマ。ここでリーチをかけても、ラス目の親はまずオリてくれないでしょう。仕掛けている他の2人も押してくるかもしれませんが、カンチャン待ちでそんな勝負はしたくありません。ここは当然のダマですね。
巡目が進んでこうなりましたが、さてどうしますか?
下家の親はノーテン濃厚。は3人に無筋ですが、かなり通りそうに見える牌です(実際は対面のみ
片アガリのテンパイ、ほか2人は1シャンテン)。なので
くらいは押しても良さそうですが、CLSさんは
切りでテンパイを崩してしまいました。とても堅実で、やはり懐の広さを感じますね。結果は上家が対面から2,000点のアガリ。
このままCLSさんがトップとなりましたが、やはり懐が広く余裕のある麻雀を打つ方だという印象です。押しすぎがご法度なのはもちろんですが、引きすぎもダメ。CLSさんはそのへんのバランス感覚に優れていると思います。