2020年9月14日の天鳳日記
<重い手はほぐせ>

 最近は九段から八段に降段するなど、私の失敗例を紹介することが多かったので、たまには華々しい成功例をご紹介しようと思います。最近忘れがちでしたが、私は一応鳳凰卓で打つ権利を持った選ばれし人間なのです。

 下の図。もう1人の八段の方が独走状態で私が2着、七段の2人がそれを追うという展開です。南2局の3本場でリーチ棒が2本落ちていますが、親番で何を切りますか?


 のツモ切りが常識的なのはもちろん分かっておりますが、カンやカンと心中するのが嫌でした。もちろん対子のどれかが暗刻になっても手は進みますが、それだとただのリーチのみ。親なので役なしでもテンパイすればありがたいですが、メンゼンだとテンパイするのは3段目(※1)以降になりそうな気配がプンプン漂っていますね。鳳凰卓の皆さんは手が早いので、そんなものを悠長に待ってくれません。

※1 3段目=13巡目以降のこと。捨て牌は6牌で1段のため。1段目は6巡目まで、2段目は7〜12巡目のことをさします。

 のツモ切りだと、7種21牌待ちの狭い2シャンテン。1シャンテンになるには平均6巡程度かかり、そこからテンパイするまでにさらに平均8巡くらいかかる計算となります。何を引いて1シャンテンになるかにもよりますので、あくまで大雑把な計算です。

 ちなみに、誰の鳴きも入らないと仮定してこの後の実戦のツモをたどると、・・・となっています。つまり、メンゼンだと2段目が終わる12巡目でやっと以下の形。


 遅い、安い、まずい、客の入らない牛丼屋のような手になってしまうわけです。それもそのはず、4巡目の最初の図の時点では山に残り2枚、に至っては1枚しかありません。ちなみにも合計で残り3枚しかなく、しかもうち1枚は王牌(※1)。土田浩翔プロなら「これは対子場ですね」と言っているところでしょう。

※2 王牌=ワンパイと読み、ドラがめくれている14牌のかたまりのこと。カンが入った時に使うことがありますが、通常のツモ牌としては使いません。

 メンゼンのメンツ手を目指すと上記の有様となってしまいます。ではどうすればよいか? 最初の図でを切れば良いのです。メンゼンのメンツ手と考えればあり得ない一打ですが、そんな重たいものはハナから目指していないので問題ありません。第一目標は食いタンで、さっさとアガって供託リーチ棒をいただくのが良いでしょう。食いタンでもやや重い形ですが、メンゼン限定よりは数倍マシです。

 しかし先ほど書いたように、次巡を引いて第二目標である七対子の1シャンテン、こうなれば食いタンよりも七対子一本に絞っても良さそう。実戦では8巡目にを重ねてテンパイしました。七対子を嫌う方は多いですが、今回のようなメンツ手で重い場合は七対子のほうが早く仕上がるケースも多いです。


 親でもあり、流局やむなしのけん制リーチでしたが、切りのリーチ後にが通り、中スジのが13巡目にトップ目からこぼれ出て9,600点の直撃となりました。ただし結局上家の八段の方が再度突き放してこの半荘トップ、私は2着のまま終わっています。

 この局に関してはできすぎと言えますが、メンゼンのメンツ手で重そうな手の場合はそれにこだわらず、今回のように食いタンや七対子、あるいは鳴き三色・一通といった手役を作りに行ってはいかがでしょうか。



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