2022年7月16日の天鳳日記
<麻雀忍者>

 起家(※1)の親番、テンパイしましたがリーチしますか、ダマテンにしますか?

※1 起家=「チーチャ」と読み、東1局に東家(親番)になる人のこと。東場か南場か示すプレートは「起家マーク」と呼んでいます。

 若い方は信じられないかもしれませんが、一昔前の麻雀戦術書には「高目三色ならダマテンで高目を狙い打ちしたほうが得だ」とか「わざわざ相手にテンパイを知らせることはない、ここは確実にダマにしましょう」など、とにかくダマテンを推奨するものが非常に多かったです。私は昔からそういう打ち方は採用せず、一発裏ドラを期待して何でも即リーチに行くタイプの打ち手でした。

 ところが上図では切りのダマにしたのです。結果を先に書きますと、直後に下家がリーチをかけ、対面が現物のを切ってくれたので7,700(+1,000)点の大きなアガリを物にしました。現代の常識では親はリーチで相手を押さえつけ、その間にツモアガリを目指すのが期待値マックスと言われていますが、もちろんそれは承知の上です。

 待ちはリャンメンだけどあまり自信が持てない。上家は明らかに手が遅そう。下家と対面もツモ切りが続いているので、12巡目だけどまだ警戒する必要はない。リーチで押さえつけるよりポロリとこぼれるのを狙ったほうが得。何より、マンズが高いのでリーチをかけたらアガリ率が下がりそう、どうせダマでツモっても親満クラス(正確には3900オール)あるじゃないか。

 実戦では上のように考えていました。実際は上家は3シャンテンながら下家と対面は1シャンテンなので、速度に関しては甘い読みとなっていたわけですが、は他家に5枚も持たれて山に2枚しか残っておらず、タラレバの話をしますと、リーチをかけているとアガリを逃しているうえに下家に放銃になっているところでした。

 下家がリーチをかけてくれたおかげでアガれたこと自体は結果論ですが、「リャンメンならなんでもリーチ!」ではなく、時にはダマテンが有効になる場面もあるということはぜひ覚えておいてください。さて、続く1本場でもこんなテンパイになりました。


 確定満貫でもリーチをかけてハネ満を狙いに行ったほうが平均順位が上がるケースも多々あります。それは承知していますが、実戦ではここもダマテンにしました。この場況では待ちには自信が持てないので、リーチで押さえつけてツモることよりも、ダマにして脇からポロっとこぼれてくることに期待したのです。

 実際にはは山に3枚残り(うち1枚は王牌)でしたが、ともあれ直後に下家からがこぼれ出て親満。以下の図からの放銃でしたので、リーチなら絶対に切っていない牌ですね。


 さて、私がトップ目のまま東3局まで進みましたが、以下の図のようにテンパイしました。リーチしますか?


 東3局ならばダマにして局を進めるよりも、素直にリーチをかけてさらに加点してトップを盤石にするほうが平均順位の面で有利です。ただ、上図は出やすいが4枚切れであることと、他家が全員すぐにもリーチが来そうな捨て牌をしているので、ここでもダマテンを選択しました。実際は以下の手でした。


 親はピンフドラ1の1シャンテン、上家は234三色の1シャンテン、下家は789三色の1シャンテン、全員が臨戦態勢だったのです。こういう時は加点よりも、確実にアガって局を進めるほうを優先したほうが良いでしょう。結果、2,000点をアガり他家のチャンス手を潰すことに成功しました。

 この後も激戦が続きましたが、上家が猛反撃を見せ、微差ながら私は2着に後退しています。そんなオーラス、私はテンパイしましたがリーチしますか?


 一応問題形式にしてみましたが、さすがにこれは誰しもダマテンにするでしょう。リーチをかけて止まってくれそうなのは対面しかいませんし、たぶん七対子などの変則手を狙いながら半分オリている対面さんを足止めするよりは、ダマでアガリ牌がこぼれてくるのを期待したほうが得でしょう。実戦では流局間近の17巡目に親からが出て逆転トップとなりました。なお、親はまさかの形テンでした。

 というわけで、この半荘の4つのアガリは全部メンゼンのダマテンとなったわけですが、リーチ大好きな私としては非常に珍しい対局となりました。麻雀忍者か、沈黙のスナイパーか。

 大事なのは、最近の麻雀戦術書に「リャンメンの先制テンパイはなんでもリーチ」と書かれているのはあくまでも「基本的な考え方」であって、基本があれば応用もあるということ。最近のトレンドに逆行するダマテンの威力を味わっていただければ幸いです。



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