2022年8月26日の天鳳日記
<チートイツ>

 麻雀の中でも好みが分かれる手役の筆頭格が七対子(チートイツ)でしょう。プロでも好みが分かれており、得意なのはトイツ王子・土田浩翔プロや金子正輝プロあたりでしょうか。故・飯田正人プロのウィキペディアの記事には「七対子などの愚形和了りは好まない」と書かれていますが、実はこれは誤りで、飯田プロの著書には「私がもっとも好み、なおかつ得意な手役、それがチートイツである」とハッキリ明記されています。たしかに、あまり対子手の印象はないですけどね。

 人間ですから好みがあるのは当たり前ですが、嫌いだからといって対子手に進んだほうが得な手牌で無理やり順子手に進むのは明らかに損な選択です。強者になるためには、苦手な手役は撲滅しなくてはなりません。

 別な記事に書きましたが、私は高校時代に「食いタンは2翻縛り」という特殊なルールで打っていた影響で、かなり長い間食いタンが苦手でしたが、雀荘に足しげく通ったりしてなんとか克服しました。今でも苦手意識がゼロというわけではないのですが、問題はないレベルになっていると思います。

 さて本題に戻ります。七対子が苦手な方がよく言うのは「受け入れが狭い」というもの。七対子が苦手と公言している新津潔プロの著書には、以下の手牌が登場します。


 これは最大でも4種12牌の受け入れにすぎませんが、新津プロは「受け入れは最大でも9枚しかない(中略)チートイツはこれよりも確率が劣るのだ」と書いています。それは正しいですが、例えば上図であたりがカンやポンされたら絶望であるのに対し、チートイツはいつでも待ちを変化させられるという利点があります。場況を見ながら待ちを選択できるのです。

 さて。以下の手牌では皆様は何を切りますか?


 赤が2枚あり本当なら食いタンに走ってアガりやすくしたいところですが、メンツゼロでチートイツ1シャンテンならメンツ手に未練を残すより、重なりやすい牌を残すほうが得策です。場を見る限りソウズの真ん中あたりは他家に根こそぎ持たれてそうなので、実戦では切りで1シャンテンにとりました。ちなみにこの時点で山の残りは、3枚、2枚、1枚、そしては0枚でした。中途半端に食いタンと天秤にかける切りはお勧めできません。

 実戦ではこの後を重ねてリーチ、ツモって裏ドラも乗せて倍満を物にしました。もちろん裏ドラが乗ったのはラッキーなのですが、やるべきことをやらなくてはそのラッキーも訪れないのです。

 さて次局は以下の配牌を受け取りましたが、何から切り出していきますか?


 チートイツから三暗刻・四暗刻まで見て…というのもありますが、守りの意識も強く持ちながら私はを切りました。こんな手なら序盤から意図的に捨て牌を派手にして「どうぞ警戒してください」って感じですね。相手が勝手に警戒してオリ気味になってくれればしめたものです。ちなみに実戦では、以下の手をアガりました。


 最初の図で無造作にを切っていたら、生まれていないアガリですね。さて、同じ半荘の南3局、またチートイツっぽい手が来ましたがここは何を切りますか?


 メンホンチートイツまで見えますが、それよりも下家の親がカンのチーから入っていることに注目しました。トップ目の私と17,000点ほど離されている2着目の親、そして赤も含めドラが1枚も見えていないという状況を踏まえ、ここは切りで完全に引きました。ション牌ですが、少なくとも親にはほぼ通るのは間違いないでしょう。将来のために現物のは温存しました。ちなみに親はこの時点で以下の1シャンテンでした。


 もう1枚ドラか赤を引けば親満クラスになる危険な手でした。私としては放銃しないのはもちろん、1枚たりとも親に鳴かせるつもりはありませんでした。結果は2人テンパイで流局、私は1,500点の支払いで済みました。下家が速そうな場合、チートイツの2シャンテンでは勝負にならないことも多く、引くべきところでは今回のように全軍撤退ということも考えなくてはいけません。

 南3局は3本場になりました。またチートイツ2シャンテンです。この半荘はこんなんばっか…さて、上家のを鳴きますか?


 ヘボ六段である私が思うに、上位グループ2人と下位グループ2人に分かれており、下位2人はリスクを背負っても加点してラスを避けようとしてくるはず。つまり、でも切ってくれるでしょう。逆に2着目の親は満貫でも振り込んだらラス争いに巻き込まれる恐れがあるので、ポツンと浮いたがあれば切りにくいのではないかと考えたのです。そこで実戦ではポンしたのですが、この時の親の手牌が以下の通り。


 いくら親でも、こんな手からドラを切るわけにはいきません。ちなみにもう1枚のは王牌でした。実戦ではアガれませんでしたが、私と南家の2人テンパイで流局し、親を流すことに成功しました。

 いま改めて思い返しても完璧なゲーム運びだったと思うのですが、この後配牌に恵まれず専守防衛モードに突入せざるを得なくなりラス親に逆転を許し、私は2着で終わってしまいました。これも麻雀と言えばそれまでなのですが。



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